駐車場の事故の過失割合ってどうなるの?

その昔は判例タイムズ(事故の判例集)には駐車場の判例が掲載されておらず、1件ずつそれぞれの過失割合を判断していました。

そのため揉めることが多く、示談担当者たちの悩みの種でした。

しかし、近年 新しい判例タイムズに駐車場事故の過失割合が掲載されたため解決しやすくなりました。

駐車場事故の過失割合

ここでは判例タイムズに掲載されている通路を走行中の判例をご紹介します。

駐車場の事故1

図だけ見るとちょっとピンとこないかもしれませんが、要するに「駐車場内の出会い頭の事故」です。

過失割合は「50:50」が基本になります。

通常ですと、右折や左折をする側に過失が大きくなりますが、公道ではないためお互いに同等の注意義務が発生すると判断されます。

その代わり修正要素が細かく決められていますので、現場の状況によって大きく過失割合に開きが出てきます。

Aがプラス10%

  • Aの道が狭くAの道が広い(大体1.5倍程度の差が必要です)
  • Aの著しい過失

Aがプラス15%から20%

  • Aの一時停止、一方通行無視

Aがプラス20%

  • Aの重過失

Bがプラス10%

  • Bの道が狭くAの道が広い(大体1.5倍程度の差が必要です)
  • Bの著しい過失

Bがプラス15%から20%

  • Bの一時停止、一方通行無視

Bにプラス20%

  • Bの重過失

「著しい過失」とは、「脇見運転」「携帯やカーナビの利用、注視」「ハンドル、ブレーキ操作の著しい不適切」「酒気帯び運転」です。
「重過失」「酒酔い運転」「居眠り運転」「無免許運転」「過労、病気等で正常に運転ができない状態」などです。

このように、現場の状況によって修正できますので、多くのこの形態の事故で10%程度の修正が行われています。

駐車場内とはいえ、標識や表示を無視すると交通秩序が乱されるので、過失割合は不利になります。

なので駐車場内の表示には従いましょうね。

他社のお局担当者とバトル

私が担当したこの案件、本当に揉めました。

というか、喧嘩になりました。

事故状況図はこちら

駐車場の事故2

私の契約者Aさんが通路を直進していたところ、駐車スペースから前進で出てきたBさんと接触しました。

基本割合「Aさん30、Bさん70」です。

修正要素「著しい過失10%」「重過失20%」しかありません。

ほぼ修正する要素がないので、過失交渉はいたってシンプルです。

ところが、Bさん及びBさんのお局担当者(別の保険会社です)は「50:50」を主張し始めたのです。

「こちらの基本割合は30:70だと思うんですが、それで大丈夫そうです?」

お局担当者「は?今回は違うでしょ??」

「え?何か修正要素ありますか?」

お局担当者「そうじゃなくて、そもそもこの図が適用できないって言ってんの」

「(あれ?なんか今日ご機嫌斜めなのかな。)お互いの事故状況を聞いても、この図以外ないと思うんですけど、何か根拠がありますか?」

お局担当者「だって駐車場なんだから50:50スタートでしょ?駐車場なんだから道路交通法の適用外で判例タイムズは適用できないの」

「いや、改訂されたので今度からはこれで交渉することになったと思うですが」

お局担当者「うちの契約者はそれが納得できないのよ。だって最近改訂されたのに急に対応しろって言ったって無理じゃない?私もおかしいと思うもん」

「いやぁ、そう言われても」

お局担当者「とにかく、今回は50:50スタートだからね!」

「え、、じゃあ御社はこれから判例タイムズを全く参考にせずに交渉するっていうことですか?今お局さんとやってる他の案件も白紙に戻して、0スタートにしますか」

お局担当者「そんなこと言ってんじゃないの!今回は違うって言ってるの!とにかく50:50!!!」ガチャン!!!

判例タイムズの変化に戸惑っているお局担当者さんのイライラが爆発したのか、電話を叩き切られてしまいました。

私も、大人気なく反論してしまったな、と反省しましたが、やっぱりよく考えたら納得できません。

損保同士は判例タイムズを参考して過失交渉するのは暗黙のルールというか、常識です。

腹が立っていて、いつも登場する先輩アジャスターに愚痴を言いました。

「かくかくしかじか」

アジャスターさん「はん?お局ちゃんどうしちゃったんだ。虫の居所でも悪かったんじゃないの。ちょっと面白いからそこのアジャスターに聞いてみる」

アジャスターさん「ねえ、そっちのお局さんが判例タイムズを基本にしないとか言ってるんだけど大丈夫?駐車場の判例は最近のだから適用しないんだって」

他社アジャスター「え?そんなこと言ってた?そりゃひどいね(笑)。ちょっと言っとくわ。その事故、判例タイムズが基本でいいから」

アジャスターさん「ありがと。なんかイラついてるみたいだから慰めてやって」

他社アジャスター「はいはーい(笑)」

この件は、先輩アジャスターの仲裁により、めでたく「30:70」スタートで交渉することになりました。

しかし、お局担当者および、Bさんは納得できなかったらしく、解決するまでに3ヶ月を要しました。

それ以降、私とお局担当者は少し険悪になってしまいました。

他社の担当者との相性の良し悪しって、実はあります。

私が仲良く交渉できる人と、後輩が険悪だったり、逆に私が険悪になってしまったお局さんと後輩が仲良しだったりします。

後輩同士がまさかの喧嘩!

次の事故状況はこちらです。

駐車場の事故3

駐車場の事故としてはスタンダードな形なので判例タイムズに掲載されており、解決しやすいものです。

修正要素「著しい過失」「重過失」の他に「Aの徐行なし→Aにプラス10%」があります。

いつもと少し違うのが、担当者がそれぞれ同じ保険会社同士、私の後輩同士なのです。

カスミちゃんとみつきちゃんです。

彼女たちはしょっちゅう飲みに行ったり、プライベートの相談をLINEでしたりするほど仲良しなので、「仲良しパワーで速攻解決するんじゃない?」と思っていました。

実際に受け付けた時はこんな和やかな感じでした。

カスミちゃん「ああこの事故、判例タイムズに載ってるし、基本で早く解決しようね!」

みつきちゃん「そうだねえ。1件でも早く解決できれば嬉しいよねえ」

ところが、その事故を受け付けてから3日後に、私の後ろ側のデスクに隣同士で座っている彼女たちの荒々しい会話が聞こえてきました。

カスミちゃん「だから、うちのAさんはそれじゃ納得できないんだってば。1割修正してよ。Bさんがバックしている時にハザードたいてなかったって言ってるもん」

みつきちゃん「ええ、無理だよ。ハザードたいてたって言ってるし。こっちも1割修正しないと嫌だって。Aさんがスピードを出して突っ込んできたから」

カスミちゃん「スピードって何キロ出てたの?証拠は?ドライブレコーダーあったけ?Aさんは私には20キロで走ってたって言ってました!」

みつきちゃん「はいはい、分かりました!もういいです!!」(力任せに引き出しを開けて、事故ファイルを突っ込む)

カスミちゃん「システムに交渉決裂って入力しまーす」

みつきちゃん「私も譲歩してもらえず、って入力しときまーす」

彼女たちの恐ろしいやりとりを見ながら先輩アジャスターは「おお怖い」と笑いながら席を立っていきました。

私も関わりたくないと思いそっと自分の仕事に取り掛かりました。

客観的に見ると、お互いの「ハザード不点灯」「スピード超過」は事実であれば正当な修正要素になりますが、それを証明できないのであれば水掛け論です。

ドライブレコーダーも目撃者もいないので、それぞれの主張は裏付けがなく、修正することは難しいです。

お互い証明できないので、やはり基本通り20:80での解決が妥当だと思います。

しかし、ヒートアップしたカスミちゃんとみつきちゃんは冷静さを失っており、お客様のためにならない「よろしくない過失交渉」のお手本のようになっています。

もとが仲良しだっただけに、お互いに憎しみを抑えきれなかったようです。

結局、私と先輩アジャスターさんで飲みに誘い、なんとかお互いの怒りを落ち着けさせて仲直りしてもらいました。

基本通り「Aさん20:Bさん80」でAさんもBさんも納得し解決したようです。

まとめ

このように駐車場の事故は、仲良しコンビの絆を破壊するほど、揉めることがあります。

担当者ですら揉めるのですから、当事者さんたちはもっと気持ちが収まりません。

みなさん、駐車場で事故を起こすと全員が大変な目にあいますので、どうか安全運転でお願いします。

すぐに止まれるくらいのスピードで走りましょうね。

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