相手にお金がない場合、裁判で勝っても慰謝料を払ってもらえないの?

裁判所

裁判で判決が出ると、その後は取り立ての必要があります。

判決後に相手方が支払をしない場合には、慰謝料の支払を受けられないのでしょうか。

相手方に保険会社がついている場合

交通事故の慰謝料請求をする場合、相手方に任意保険会社がついていることが多いです。

任意保険に加入している場合には、通常裁判に勝った場合に慰謝料の支払が受けられないということはありません。

この場合、相手方の任意保険会社に対して裁判を起こすことになりますが、こちらが勝てば任意保険会社に対して慰謝料などの「支払い命令」が出ます。

支払い命令が出たら、任意保険会社は速やかに支払をしてきます。

その保険会社が倒産した場合には支払が受けられなくなる可能性はありますが、それ以外の場合には支払が受けられなくなることは考えにくいです。

相手方が無保険の場合

相手方に裁判で勝っても慰謝料の支払いが受けられない可能性がある場合は、相手方が無保険の場合です。

また、自賠責しか入っておらず、自賠責だけでは賠償金全額の支払に足りない場合にも、慰謝料の全額の支払いが受けられなくなる可能性があります。

相手方が判決に従って支払をした場合

裁判でこちら側が勝つと、相手方本人に対して支払い命令が出ます。

ただ、支払い命令が出ても、裁判所は自動的にお金の取り立てをしてくれるわけではありません。

判決に従ったお金の取り立ては、勝訴した人が自分で行わなければならないのです。

よって、相手方に勝訴して支払い命令の判決が出た場合でも、こちら側が自主的に相手方に連絡を入れて、支払の話し合いをしないといけません。

このとき、相手方によっては、すんなり支払に応じる人もいます。

このような場合であれば、問題なく判決で決まった慰謝料を受け取ることが出来ます。

相手方が判決に従った支払をしない場合

裁判所で、交通事故の慰謝料などの賠償金支払い命令が出ても、その判決に従った支払をしない人がいます。

判決が確定した後、こちら側が支払についての連絡を入れても、無視したり、「お金がないから支払えない」などと言ってくることがあります。

このような場合、相手方に本当に財産がないのかどうかによって、こちら側の対応が変わってきます。

相手方に財産がある場合

相手方が判決に従わない場合でも、相手方に財産がある場合には、その財産から取り立てをすることが出来ます。

この取り立ての手続きは、強制執行(差し押さえ)の手続きです。

たとえば、相手方が預貯金を持っていたり、生命保険に加入していたり、不動産を所有している場合には、それらの財産を差し押さえて現金に換えることによって、こちら側が慰謝料を回収することが出来ます。

たとえば預貯金ならば、強制的に解約してその口座内の残高の支払いを受けられますし、生命保険なら、解約させて解約返戻金を受け取ることが出来ます。

不動産であれば、強制的に競売手続きにかけて、売却出来た金額の支払いを受けることが出来ます。

相手方名義の財産であれば何でも差し押さえることが出来るので、たとえば相手方の自動車でもかまいませんし、相手方の勤務先が判明している場合には、給料の差し押さえも出来ます。

普通の人は、給料などを差し押さえられるととても困りますし、嫌がります。

財産の差し押さえを行うまでは支払をしないで無視している場合であっても、差し押さえをされると途端に慌てて、支払についての連絡をしてくる人もいます。

「今後分割して月々いくらずつ支払をするので、差し押さえを取り下げてほしい」などの具体的な提案が出ることもあります。

このようにして、慰謝料の分割払いまたは一括払いが受けられる事になるケースがあります。

相手方によっては、差し押さえをされても任意での支払には応じない人もいます。

その場合には、全額回収出来るまで、相手方の財産を探して差し押さえを続けることになります。

相手方に財産が無い場合

交通事故の裁判で相手方に勝訴しても、相手方が支払をせず、しかも相手方に財産がないケースがあります。

この場合には、相手方の財産を差し押さえて取り立てを行うことが出来ません。

このような場合は、慰謝料の支払いを受けることを諦めるしかないのでしょうか。

実は、そのようなことはありません。

いったん裁判で決まった内容は、10年間有効です。

裁判の判決の時効は10年だからです。

そのため、今は相手方に財産がなくても、今後10年間の間に相手方に財産が出来たら、そこから取り立てをすることが可能です。

また、相手方の勤務先を調べて判明すれば、給与差し押さえを行うことも出来ます。

このように、相手方の財産が無い場合には、相手方がその後財産を得ることがないかどうかを注視していく必要があります。

時効完成前に裁判を起こして権利を保全する

裁判の時効は10年です。

ということは、せっかく相手方に対して判決が出ても、10年間財産が見つからない場合には、相手方から慰謝料の支払が受けられなくなるようにも思えます。

しかし、実はそのようなことはありません。

裁判の時効は、時効をむかえる前に再度裁判をすることによって、さらに10年延ばすことが可能です。

このようにして、10年ごとに裁判を繰り返していけば、永遠に時効が成立することはありません。

この方法によって、相手方に対する慰謝料を永遠に請求し続けることが出来ます。

相手方に財産が出来れば、その時点で判決に従って強制執行をして取り立てをすれば慰謝料の支払が受けられます。

政府保証事業を利用する

相手方が無保険で、判決に従った支払をしない場合には、政府保証事業による支払も受けることが出来ます。

政府保証事業とは、相手方が自賠責に入っていない場合や、ひき逃げ事案などで相手方が不明な場合に、政府から慰謝料などの賠償金を受けられる制度のことです。

政府保証事業での慰謝料の金額は、自賠責基準になりますので、任意保険基準

弁護士基準よりは低くなります。

ただ、それでも支払が全く受けられないこととは違ってくるので、利用するメリットはあります。

また政府保証事業を利用した場合、政府は相手方本人に対して支払った分を求償する(支払を求める)ことになるので、相手方が逃げ得になることもありません。

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