アクセルとブレーキの踏み間違いの事故被害で全損に

ケース1.後ろから追突され、その勢いでコンビニに衝突

アクセルとブレーキの踏み違い

契約者Bさんのお話です。

Bさんは新車登録から9年が経過したコンパクトカーにお乗りです。

Bさんはコンビニの駐車場に車を停めて買い物をしていところ、アクセルとブレーキを踏み間違えたCさんの車が激突。

Cさんの車とコンビニの間にサンドイッチ状態になってしまい、Bさんの車は窓ガラスも割れ、ぺっちゃんこ状態になりました。

修理代は概算で100万円を超えていました。

お相手のCさんの保険会社からBさんには全損で時価額は40万円と提示されたそうです。

Cさんは「全損超過修理費用特約」に未加入でした。

全損超過修理費用特約については「示談担当者も入っている。入っておいた方が良い「自動車保険の特約ベスト3」をご覧ください。)

Bさんは念の為自分の保険会社にも報告しましたが、私はBさんに全く過失がなく、怪我もなく、車両保険も入っていないし、弁護士特約も付いていないので、保険請求の取り下げの手続きをしました。

しかし、相手の保険会社との交渉に不安を感じているようだったので、Bさんからの相談には乗っていました。

時価額に納得できない場合は、自分で同クラス、同じ状態(車検の残りや走行距離など)の車の市場価格を提出して交渉すればアップできるかもしれない、とアドバイスをしました。

(詳しくは「交通事故で車が全損扱いになった場合に、もらえるお金のまとめ」をご覧ください。)

ところが、相手の保険会社は「時価額はレッドブック(中古車の市場価格をまとめた本)を基準にしていて、それ以上の増額は無理です」の一点張りなのです。

Bさんがいくら正当な主張をしても突っぱねて相手にしてくれない、とBさんは言います。

逆の立場であれば、私だったら正当な根拠があるのであれば時価額アップには応じます。

しかし相手の保険会社は上から目線で全く話を聞いてくれないそうです。

私が代わりに交渉してあげたいのですが、法律違反になってしまうのでそれもできません。

そうこうしているうちに相手の保険会社は「こちらの提示額に納得しないのであれば、今使っている代車は明日にでも引き上げさせてもらう。もし納得するのであれば2週間だけ使わせてあげる」という半分脅しのような強硬手段に出てきました。

私たちの地域では全損の場合の代車費用は最低2週間は支払ってあげます。

しかし、相手の保険会社は事故からたった5日で引き上げをするというのです。

なんという被害者さんを軽視した血も涙もない対応でしょうか。

地方では車がなければ生活ができません。

それを逆手にとって無理やり納得させようとするなんて、酷すぎます。

さすがの私も腹が立って、「Bさんの言いたいことを伝言する」という形で相手の保険会社に電話をしました。

担当者は聞いたことがない名前でした。

聞いてみたところ、新人のアジャスター(車の専門家)さんのようです。

「Bさんの件ですが、どうしても時価額アップをお認めにならないと伺いました。Bさんは正当な根拠を出していますけど応じられない理由でもあるんですか?いつも御社からの時価額アップ交渉(過失案件)には前向きに応じてきたつもりなんですけど・・。いつもは御社だって応じてくれていたのにどうして?」

相手アジャスター「ダメなものはダメなんです。当社の規定ではレッドブック以外での時価額認定はできません。そもそもあなたに交渉する権利はありません」

「それは分かりますけど、いくらなんでもそれは酷すぎじゃないですか?いつも御社だってネットで調べた市場価格で時価額交渉してきてますよ?」

相手アジャスター「私はそういうことはしていません」

ガチャ!

相手のアジャスターは新人さんが陥りがちな落とし穴にはまっているようで、何もかもマニュアル通りでなければ気が済まないようです。

これではBさんはひとたまりもありません。

私は怒り心頭で、先輩や後輩、アジャスターさんたちにこの対応を伝えて今後はその保険会社からの時価額アップには応じないように、と釘を刺しました。

しかし、そんなことをしても今すぐにBさんの時価額が上がる訳でもなく、代車が貸してもらえる訳でもありません。

結局、Bさんは新人悪徳アジャスターの提示した40万円で示談することになりました。

Bさんはとても悔しそうで、絶対にその保険会社では保険に入らないし、周りに言いふらしてやる、と息巻いていました。

私も同僚たちもその新人悪徳アジャスターのやり方に腹を立てていたので、本当にその保険会社からの時価額アップ交渉には全く応じないことにしました。

すると1週間も経たない間に、その保険会社のお局示談担当者から電話がありました。

お局示談担当者「最近そっち時価額渋いけどなんかあった?」

「ええそうなんですよ。御社の新人くんが『うちはレッドブック以外は認定しない』って言い張るから、こっちもそうしようってことになったんです」

お局示談担当者「えー!本当?そんなこと言ったの?そりゃダメだわ。ちょっと懲らしめとくから」

「きついお灸をお願いします(笑)」

それ以降、新人悪徳アジャスターは毒気を抜かれ血の通った示談交渉をするようになりました。

しかし、Bさんは泣き寝入りのままです。

これは極端な例ですが、中にはこれに似た交渉をする示談担当者も少なからずいます。

もし、そういう人が担当になったら遠慮なく正当な主張をしてみましょう。

ケース2.老舗呉服屋に突っ込んでダブル全損

呉服屋

これは私が見た中でも1、2を争う揉めた全損事故です。

契約者のAさんがアクセルとブレーキを間違って呉服屋さんに突っ込んでしまいました。

車のフロント部分は大破。

物理的全損(修理をすることは物理的に不可能な状態)です。

車両保険に入っていたので車両保険満額全損諸費用を受け取っていただきました。

参考:『交通事故で車が全損扱いになった場合に、もらえるお金まとめ』

Aさんの車は5年落ちのプリウスでしたが、車両保険を多めにかけておいたので、30万円をプラスするだけで新車を購入することができました。

問題は呉服屋さんです。

呉服屋さんの店のドア、窓ガラス、ショーウィンドーに至るまで大破です。

幸いなことにお客さんがいない時間帯で、従業員さんも奥に入っていたのでお怪我はありませんでした。

しかし、呉服屋さんは営業不能状態です。

売っていた着物たちもガラスまみれで売り物にはなりません。

呉服屋さんは地元で50年以上続く老舗でした。

私はすぐさま謝罪しましたが、聞く耳を持たない状態です。

呉服屋さん「私たちの歴史を全て失ったんですよ、ごめんなさいじゃ済まないですよ」

「承知しております。今後の賠償につきましては後ほど担当がお伺いしますので、じっくりとお話をさせてください」

呉服屋さん「いますぐに来てください!!」

こういう時は私たち示談担当者でも、アジャスターでもなく、総合職の男性社員が赴きます。

今回は課長が呉服屋さんの担当になり、私は今後のために、と同行しました。

いつもは私たちの交渉にダメ出しをしている課長のお手並み拝見です。

課長「この度は大変ご迷惑をおかけしました。今後の賠償についてご相談させていただきたいと思いますので、建物や着物の被害について調査させていただけないでしょうか?」

呉服屋さん「そんなの見ればわかるでしょ?もうだめよ。ここで商売はできないよ!ケチがついた土地なんてダメだ。ここじゃない場所に土地を買ってもらって、店を新築してもらわなきゃ話にならない」

課長「お気持ちはわかりますがまずは被害を調査しなければ、お話ができませんのでまずは調査業者に依頼しまして、被害額を確認させていただければと」

呉服屋さん「はい?だ か ら言ってるでしょ。もうダメなの。友禅も西陣織もみんなダメ。人間国宝のもあったんですよ。それだけでも1000万円ははるかに超えますよ」

課長「それは大変ご迷惑をおかけしまして、誠に申し訳ございませんでした。なんとか被害の実情を把握してから、具体的なお話をさせていただけないでしょうか?」

呉服屋さん「そんなの私たちが一番存じ上げております。5億円です!土地と建物、そして売り物、それから慰謝料に治療費!」

課長「はい?5億円ですか。似たようなケースでは新しい建物を建てるだけの費用を賠償金としてお支払いすることが多いのです」

課長は相手の強い態度に段々と我慢ができなくなったようです。

呉服屋さん「お話になりませんね!新築にしてもらってもダメ!でるとこに出ましょうかね!」

隣で見ていた私でも課長の堪忍袋の尾が切れたのが分かりました。

課長「どうぞ、ご自由になさってください。私が拝見したところ、建物は建築してから50年以上経過していますので、時価額はほぼないに等しいでしょう。

それから売り物の着物ですが、本当に人間国宝の手によるものかどうか、鑑定書でもなければ分かりませんからね。その辺も全て調査させていただいた上で、この土地に同程度のお店を新築するお金と着物の妥当な賠償金をお支払いさせていただく所存でございました。

が!そのようにおっしゃるのでしたら新しくお店を建築する費用については白紙にさせていただき、妥当な『時価額』で賠償させていただきます!おそらく全損ですので、よろしいですね!!」

なんとびっくり、課長が日頃から私たちに言っていた「ダメな示談交渉」のお手本のような交渉になってしまいました。

相手の言動に腹を立てて、感情的になり上から目線で物申すなど言語道断のはずが、見事にダメな示談交渉そのものになってしまっています。

当然のように呉服屋さんはさらにご立腹です。

呉服屋さん「分かりました!裁判にしましょうね!!うちの顧問弁護士から連絡をさせていただきます!」

課長「ご連絡お待ち申し上げております!!」

私は、あまりの酷い交渉っぷりに言葉も出ませんでした。

通常、車以外の「モノ」、特に建物については「時価額」という概念は登場させません。

参考:『信号機、踏切など修理代が高い物をランキングにしたらこうなった』

ほとんどの事故で、建物については新築を購入するだけの費用を賠償金として支払います。

それは被害者救済とともに、加害者である契約者を守るためでもあると課長から教わったことがありました。

しかし、しかしその当の本人の課長が呉服屋さんに「時価額」で賠償すると言い放ったのです。

「課長、呉服屋さん、時価額で賠償ってことは全損ですか?」

課長「そうだよ。保険会社からお金をふんだくってやろうっていう被害者に温情はかけられないから。ああ腹たつなあ」

「・・・」

この時はなんてひどい態度で交渉したんだろう、と課長のことを見損なっていましたが、弁護士同士の交渉、そして裁判になった時に課長の交渉が正しかったのでは、と思いました。

なぜならば呉服屋さんの主張、要求は段々とエスカレートし、裁判になる時には「駅前の一等地にビルを建てる費用10億円」を要求していたのです。

もし、最初に呉服屋さんをなだめて、丁重に対応していたとしても、結局はこうなってしまっていたような気がします。

結局、呉服屋さんには総額1000万円の賠償金が支払われることになりました。

呉服屋さんが請求した金額の100分の1です。

ほぼ開店休業状態だったことが決算などから証明され、休業損害は雀の涙、着物は二束三文でした。

もし、呉服屋さんが、最初に「5億円」なんて言わなければ、今頃は新しい木の香りのする新築のお店が完成していたはずです。

呉服屋さんは、きっと誰かから聞いた「交通事故で儲けた」という話を真に受けてしまいあんな態度に出てしまったのでしょう。

この事故は、建物が全損になっていましたが、車でも同じです。

相場をはるかに超えた時価額を、強気に交渉をすれば示談担当者は頑なになり、時価額アップを考える気が失せてしまいます。

少しでも高額な時価額で賠償してもらいたい、と考えるのであれば相場をそれほど超えない程度の金額で交渉しましょうね。

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